外国の日本食業界の闇

未だ日本は頑固に鎖国中ですが、オーストラリアはコロナ前とほとんど変わらない状況になってきています。特に飲食業界の活発ぶりは目を見張るものがあります。

そんな中で、未だオーストラリアの日本食業界では人手不足が深刻で、違法雇用もまた目立ってきたようです。

引用:日豪プレス https://nichigopress.jp/news-item/41626/ より

 

1.いろいろ高いオーストラリアの金銭面

僕がオーストラリアに来た2013年当時は、NSW州の最低時給は$16ほどでした。

それが毎年のように上がっていき、今年の2022年7月よりまた上がり、現在のNSW州最低時給は$21.38となっています。

日本円にすると、時給約2000円ですね。日本では夢のような時給でしょう。

 

さて、ものの値段があがれば、当然雇用する側も相当な負担となります。

だから商品の値段も上げるしかない。このサイクルでオーストラリアはどんどんインフレが進んでいきます。

悪循環ですよね。

 

雇用主はこの時給に加えて、スーパーアニュエーション(日本でいう年金)も会社側が従業員へ支払わなければなりません。

これも僕がシドニーに来た当時は9%ほどだったのですが、これもやはい今年から上がり、現在は10.5%となりました。

 

会社は従業員に基本給+年金を支払っていかなければならないのです。

 

先日の選挙でオーストラリア首相も交代して、従業員をいろいろと守る法律を打ち出しているようですが、

(それは僕もありがたいですが)

雇用側の状況も理解して、双方に無理がない政策を出していくことが重要かなと思います。

 

2.日本食レストランの事情

国境は完全に開いたといってもよい状況のオーストラリアですが、未だ人手不足は深刻です。

現在それを補うために、一時的にワーホリ・学生ビザの労働制限を撤廃してはいるものの、お店が回らなくなってビジネスを閉めた店舗もたくさんあります。

 

以下、引用記事から抜粋したものです。

・英語が話せずまともに接客もできないホールスタッフ、包丁を持ったこともないキッチンハンド(調理補助)に時給2,000円も払っていられないよ。日本で社会経験どころかバイトしたこともないワーホリや留学生が多く、仕事の心構えから教えなければいけない。そういう奴に限って、連絡もなく突然バックレる。レストランは学校じゃない。こっちは、家賃や食材も高騰しているし、利益を出すのも大変なんだ」(日本食レストラン経営者)

・あくまで一般論だが、「自分探しの旅」と称して日本からオーストラリアにやってくるワーホリや留学生の中には、語学力やスキルが低い人が少なくないのも事実。雇用のミスマッチが起きている。

・時給25豪ドル(約2,300円)で求人広告を出しても応募が全く来ない。店はコロナ前より繁盛しているのに人手が全く足りず、経営者が現場に出てなんとか切り盛りしている

 

ご覧の通り、まだまだこの人手不足問題は解消しそうにありません。

 

3.なぜ人手不足なのか?

かなりのワーホリや留学生がオーストラリアへやってきてはいるものの、国境が再開されてまだ数カ月。以前のように何十万人というわけではないので、星の数くらいありそうなレストランの数を考えると、まだまだその供給に追いつける人員は望めないと思います。

そしてこうしたレストランは、従業員のほとんどをワーホリ・学生ビザの人に頼っているので、どんなに高時給にしたところで、そもそもオーストラリアに今いるワーホリ・留学生の人数がコロナ前と比べて圧倒的に少ないのが現状です。

そしてせっかく海外に来たのだから、なるべく英語環境で、そしてオフィスで働いてみたいという憧れを持つ人も多いでしょうから、まず彼らの目はレストラン系の求人へ最初へ行くことはないと思います。

どうしても完全英語環境アウト、そしてどうしても希望のところで仕事がつけない人が、最後にやってくるところかもしれません。(ちょっと失礼かもですが・・・)

そしてそんな人たちなので、なかなか長続きせず、入ってもすぐに辞めてしまう人も後を絶ちません。

 

そんな中なので、いつでもすぐやめられても傷が浅くなるように、違法な賃金や条件で雇用するレストランも多い・・・ということなのではないかと思います。

時給低めに設定して、現金手渡しで記録に乗らない方法での給与にすれば、すぐにバックレられても傷は浅く、ある程度長めに真面目に働いてくれそうな様子であれば、正規の金額できちんと法律に則った方法で雇用する、というところもあるようです。