オーストラリア永住か日本に帰るか

ワーホリや留学を目指す方々なら、一度は海外永住を考えてみるものだと思います。海外生活の憧れは僕もあったので今こうして無事にオーストラリアに永住できているわけですが、数カ月前に日本へ出張で2か月ちょっと帰国したときは、やっぱり日本っていいな、シドニーに戻りたくないな、という気持ちがあったのも事実です。実際、どちらがいいのでしょうか。

1.ワーホリ・留学で来たばかりの方々の意見

やはり、みなさんチャンスがあれば永住したいとおっしゃる方が多いですが、僕が今まで担当してきたお客様の中では6割くらいの方がそのような意見をお持ちでした。ごもっともですね。ほとんどの方は20代後半~30歳前後の方ですので、みなさん一度は社会人を日本で経験されてきて、仕事を辞めて1年前後のオーストラリア生活を始めるのですからね。

もちろん、大学在学中に休学して、もしくは卒業してすぐにオーストラリアにいらっしゃる方も多いです。

残りの4割の方は、ワーホリ・留学は憧れてきたけど、永住までは考えていない。数年くらい生活して、また日本に戻る予定とおっしゃっていました。

なんだかんだ言っても、一生住むならやっぱり日本がいいという方も若い方々の中にも多いということですね。

 

もしくは、機会が巡ってくれば永住でもいいけど、絶対オーストラリアに永住したいというわけではなく、生活は日本でもいいという、どっちでもいいという方もいらっしゃいます。

ちなみに僕は、最初のカナダへワーホリで行ったとき、やっぱり海外に住みたい、つまり永住したいという気持ちが強かったです。

どうにかして永住できる方法がないものかと調べてみましたが、その当時の状況では帰国する以外道はなく、一旦日本に帰ってからオーストラリアに来ました。

 

そしてオーストラリアに来てから永住できる道が開けたわけですが、途中の学生ビザ時代から、「日本に帰ってもいいな」と思うようにもなりました。

その理由は後ほどご紹介しますが、僕は現状の気持ちは、オーストラリアでも日本でもどちらでもいいという意見ですね。

 

2.何十年とオーストラリアに住んでいる方々の意見

僕はオーストラリアに来てからもうすぐ9年が経過しようとしていますが、まわりには何十年とオーストラリアに住んでいる日本人の方々も多いです。

その方々のほとんどが、「日本に帰りたい」とおっしゃっています。

 

でもこれは、おそらくですが、オーストラリアの生活が嫌になったというわけではなく、生まれ育った日本が恋しくなってきたから日本へ帰りたいという方が多いと思います。

日本にいらっしゃる家族や友人の方にだって会いたいだろうし、地元にたまには帰りたいという気持ちもよくわかります。

おそらく、たとえ日本に帰ったとしても、数年たった後に、「やっぱりオーストラリアへ戻ろう」と気持ちが変わることでしょう。

(実際に日本に帰って日本で再就職した人が僕の知り合いにいましたが、結局1年ちょっとでやめてシドニーに戻ってきました。)

 

また、お子様がいらっしゃる場合だと、教育をオーストラリアと日本のどちらの環境で受けさせるかで悩むご家庭も多いでしょう。それで日本を選ぶという方もいらっしゃいますね。これは決してオーストラリアの教育制度がダメとかそういうことではなく、あくまでも各ご家庭の都合により、自分たちの子供にとって最適な教育環境はどこか・・・を話し合った結論です。むしろオーストラリアで教育を受けるために移住する方も世界中にはたくさんいらっしゃいます。

 

3.オーストラリア永住のいいところと、よくないかもしれないところ

オーストラリア永住のいいところ一例

・政府からの援助が多い

例えば現在問題となっているコロナで失業した人たちがたくさんいますが、日本政府はどの程度国民へ援助したでしょうか。1回だけの10万円とか、なぜか飲食店限定でのちょっとした支援金だけで終わっているような気がします。

その点、オーストラリアは厳しいロックダウンが敷かれたものの、コロナ危機の当初からJob Keeper Paymentをはじめ、様々な経済支援をしてきています。オーストラリアの永住者ももちろんこの恩恵を受けることができます。中には永住者だけでなく、オーストラリアに住むすべての人を対象とする支援もあります。

その他にも、子供ができたら現在の収入に応じて援助金を受けられたり、失業保険(Job Seeker)も受けることができます。

 

・多国籍社会で生活に刺激がある

オーストラリアに住んでいる方の多くは移民です。ローカルの方々でも純粋なオーストラリア人は少ないでしょう。様々なバックグランドを持った方々と毎日接するので、毎日の生活はいろいろな刺激があって楽しいものになる方もいらっしゃるでしょう。実際にオーストラリアにあるレストランは、日本食はもちろんのこと、中華料理、韓国料理、ヨーロッパ、東南アジアなど、世界中の料理がオーストラリアで楽しめるのもいいですよね。

アジア人、ヨーロッパ人、アメリカ大陸の方々など、世界中の知り合い・お付き合いができるのもオーストラリア永住の魅力ですね。

 

・高収入を得られる可能性

オーストラリアは物価が高いですが、お給料の水準も高いです。日本で専門分野(医療、会計、薬品、政府関連、IT関連のお仕事など)の職業経験があれば、オーストラリアで同様の職種につくことができれば、最初から平均以上の収入も十分可能性があります。年間で$70000~$80000(年収700万前後。税金や年金などを含む)、さらには$100,000の年収(1000万円前後)の仕事に就くことも夢ではありません。

特に理系の分野やIT分野の方々は、オーストラリアではこういった仕事は高収入を出す会社や組織が多い傾向にありますし、永住権の道も他の方より可能性があるという場合もあります。

 

オーストラリア永住のよくないかもしれないところ

・物価が高い

先ほど物価が高いお話をしましたが、普通の仕事についていても、ちょっとオーストラリアでずっと生活していくのはコスト的に大変な部分もあります。おそらく何かしらの定職についていて、1人暮らしをしていくだけであれば問題ないと思います。シェアハウスではなく、普通のレベルの家だったら借りることもできると思います。

普通の家の家賃であれば1週間で$400前後ですが、普通の仕事についていれば何とかなるとは思います。

ただ、もし結婚して子供ができて・・・となると、そうはいかないでしょう。実際、コロナの経済危機をモロに受けている僕は、当然ながら収入激減状態なので、普通の生活すら現在は厳しい状況が続いています。

オーストラリアは労働規定で毎年ちょっとずつですが給料は数パーセントの割合で上がります。が、オーストラリアの物価も同様に上がります。

先ほどの専門職のような方々であれば影響は少ないかもしれませんが、僕のような、だれでもできるような仕事であればお給料は平均以下なので、こんな状況なら、日本で仕事して生活するほうが経済面ではよいかもしれません。

 

・永住の代償

専門職から自力で永住権を取れる方はよいかもしれませんが、ほとんどのオーストラリア永住権は、必ずどなたかに協力を仰ぎ、スポンサーになってもらわなくてはなりません。

法律上は、永住権をとったからといって、絶対のその関連する仕事を一生続けなければならないとかそういうのはありません。職業選択の自由・生活の自由があります。

しかしながら、場合によっては、個人同士の関係で、永住権の代償としてスポンサーになってくれた、または協力してくれた方や組織の、ある意味奴隷生活を強いられるケースもあります。これはごく稀なことではありますが、そういった闇もまったくないわけではないです。僕も実はこれにちょっと悩まされていて(今ではだいぶ融通が利くようにはなりましたが)、このせいでコロナ前はほとんど日本に帰れなく、やっとこの前の出張のおかげで4年ぶりに日本に帰ることができたのです。

そして永住できたはよいものの、僕は専門職のような仕事経験も学位もないので、結局は平均かそれ以下の仕事につくのがやっとで、コロナ前だったらまだよかったものの、現在はホントに大変で日々終わらない、いろいろなプレッシャーとストレスで休まる場所がありません。

 

4.海外生活体験は是非!

ここまでは永住のよいところと、闇かもしれない部分の実体験をお話してきましたが、それでも海外生活の体験は一生の間で何度もできることではありません。特に若いうちにしかできないことだと思いますので、チャンスがあれば、是非ワーホリ・留学にチャレンジしてほしいと思います。

仮に上記のような大変なこともあるかもしれませんが、そういった苦難に直面し、乗り越える機会が得られるのもまた海外生活ならではで、こういった経験は今後の人生で大きく貢献すると思います。

そこでなお永住したいという気持ちがあれば、是非そこまでチャレンジして頂ければよいと思いますし、日本に帰ってもよいと思います。

一度仕事を辞めてまでワーホリ・留学はちょっと・・・という方も多いですが、帰国してから再就職している方は非常に多いですし、正直なところ、オーストラリアに比べたら日本のほうが求人は多いような気もします。

僕も日本へ帰国しなければならないことも考えて一時期日本の就活サイトで就活をしていたこともありますが、いくつかの企業からスカウトメールを頂いたくらいですので、さほど日本での再就職は大きな問題でないのかと感じました。

僕は上記のように大変な状況が続きますが、少しずつ国境も開きそうですし、もしかしたら新しい道も開ける可能性がちょっと出てきたので、もうしばらくはシドニーで頑張ってみようと思います。